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2026年01月07日

🦷 抜歯しないと矯正治療はできないの?
〜その答えと歯を並べる4つの方法〜

💓「できれば抜きたくない」という気持ちに寄り添って

矯正に来られる方の多くが、最初に尋ねられるのがこの質問です。
「歯を抜かずに矯正できますか?」
健康な歯を抜きたくないというのは、誰もが感じる自然な思いです。

近年はマウスピース矯正などの登場により、「非抜歯矯正」という言葉を耳にする機会も増えました。
しかし実際には、抜歯が必要なケースと不要なケースがあり、その判断には科学的・解剖学的な根拠が存在します。

本記事では、

  • なぜ抜歯が必要になるのか
  • 抜歯をしなくても歯を並べる方法
  • そして「口元の美しさ」と「前歯の位置」の関係

を専門的な視点から、できるだけわかりやすく解説します。

🧠 抜歯が必要になる理由とは?

矯正治療の目的は、歯をキレイに並べるだけではありません。

  • 正しい噛み合わせの再構築
  • 顔全体とのバランス調整
  • 歯や骨への負担を少なくすること

これらをトータルで整えるのが、本来の「矯正治療」です。

スペースが足りない場合

歯を動かすには“並べるための空間=スペース”が必要です。
歯の大きさに対して顎が小さい場合(叢生)や、歯列が前方に押し出されている場合には、
抜歯によってスペースを確保するのが最も効率的で安定した方法になります。

顔貌とのバランスを整える場合

もうひとつの重要な理由は「口元のバランス」です。
実は――💡 唇の位置は前歯の位置によって決まります。

つまり、

  • 前歯が前に出ていれば唇も前に出る
  • 前歯を後ろに下げれば唇も自然に下がる

という関係があります。

そのため、もし「口元を下げたい」「横顔をスッキリ見せたい」と希望される場合は、現状よりも前歯を後方に下げる設計が必要になります。
そして、その後退量を確保するには抜歯によるスペース確保が有効になるケースが多いのです。

🌿 歯を並べるための4つのスペース確保方法

では、歯を整えるためのスペースはどのように作るのでしょうか?
矯正では、次の4つの基本的な方法を症例に合わせて組み合わせます。

抜歯したスペースを利用する

歯を抜いてできたスペースに、歯を移動させて並べる方法です。

【メリット】
・最も効率的にスペースを確保できる
・前歯をしっかり後方へ下げられる(口元の改善が可能)
・治療後の安定性が高い
【デメリット】
・健康な歯を抜く必要がある

💡 特に「口元を下げたい」「横顔を美しく整えたい」方には、最も効果的な方法です。
抜歯部位は多くの場合、小臼歯(4番または5番)を選択します。

歯列を拡大してスペースを作る

歯列の幅(アーチフォーム)を広げることでスペースを作る方法です。

【メリット】
・抜歯が不要
・歯を残したまま叢生(ガタつき)を改善できる
【デメリット】
・口元がやや前に出る傾向
・骨の厚みに限界があり、拡大しすぎると歯茎が下がるリスク

💡 軽度のガタつきがある方に適しています。
ただし、前歯を後退させる効果は小さいため、「口元を下げたい」目的では他の方法との併用が必要です。

歯と歯の間を少し削って隙間を作る(IPR:ディスキング)

歯のエナメル質を0.2〜0.5mmほど削って、わずかなスペースを作る方法です。

【メリット】
・抜歯不要
・歯列全体のバランスを保ちながらガタつきを改善できる
・見た目に変化がほとんどない
【デメリット】
・作れるスペースが限られる
・中〜重度の叢生には不向き

💡 軽度の凸凹に有効。マウスピース矯正でもよく用いられる手法です。
歯の強度やエナメル厚を考慮しながら、安全な範囲で行います。

奥歯を後方に下げる(遠心移動)

奥歯を後ろに動かして、前方のスペースを確保する方法です。

【メリット】
・抜歯をせずに前歯を下げられる
・口元を自然に下げる効果が期待できる
【デメリット】
・親知らずの抜歯が必要な場合がある
・移動距離が大きい場合、時間がかかる
・舌癖がある場合戻りやすい(トレーニングにより改善可能)

💡 「できるだけ抜歯は避けたいけれど、口元を少し下げたい」という方に最適
特に、アンカースクリュー(ミニインプラント)を併用することで、歯列を効率的に後方へ動かすことが可能です。
アンカースクリューは顎の骨に一時的に埋め込む小さなチタン製のネジで、「動かしたくない歯を固定するための支点」としても使われます。
これにより、従来は抜歯が必要だった症例でも、非抜歯で前歯の後退が可能になるケースが増えています。

🧩 当クリニックの方針:科学とデザインの両立

当院では、初診時にレイフェイス5D(フェイススキャナー)、顔貌・口腔内写真を用いて、
「抜歯した場合」と「非抜歯で行った場合」のシミュレーションを作成します。

この2つを比較することで、

  • 横顔(Eライン)の変化
  • 歯列の安定性
  • 骨や歯茎への負担

などを患者さんと一緒に確認し、最もバランスの良い治療方針を決定します。
「できるだけ抜かずに、でも無理はしない」
それが当院の矯正治療の基本方針です。

💬 よくある質問:抜歯をしたほうがキレイになるの?

結論から言うと、「ケースによる」です。

非抜歯で無理に並べると、歯列が前方に膨らみ、口元が押し出された印象になることがあります。
一方、抜歯を行うと、そのスペースを使って前歯を後方に動かすことができ、
結果として横顔のライン(Eライン)が整い、口元が自然に下がることがあります。

また、不適切な抜歯矯正の場合口元が下がり過ぎてしまう場合があります。
どんな横顔になるのかレイフェイス5Dによるシミュレーションによりモニター上で確認が可能になります。

つまり、
👉 「抜くかどうか」よりも、
👉 「どんな顔立ちを目指すか」「どこまで前歯を下げたいか」
というところも大切な判断基準になります。

まとめ

  • 抜歯は“悪いこと”ではなく、歯と顔の調和を取るための選択肢の一つ
  • 唇の位置は前歯の位置で決まる
  • 口元を下げたい場合は、前歯を後方に下げる設計が必要
  • スペースの作り方は4通り(抜歯/拡大/削合/遠心移動)
  • アンカースクリューを併用することで、非抜歯でも前歯の後退が可能になる

📚 参考文献

・Proffit WR, Contemporary Orthodontics, 6th ed., Elsevier, 2022.
・Kim YH et al., Extraction vs nonextraction treatment: long-term stability and esthetic outcomes, Am J Orthod Dentofacial Orthop, 2023.
・Ong HB et al., Clinical outcomes of non-extraction treatment in mild crowding cases, Prog Orthod, 2022.
・Chen J. et al., Use of temporary anchorage devices in space management and retraction, J Clin Orthod, 2023.

著者 Author

矯正医 上條 光太

2014年に歯科医師免許を取得し、矯正一筋で治療をしてきました。
患者様の歯列の仕上がりを0.1mm単位で細かく調整し、より早く終わられられるよう効率的な治療を常に意識して治療に取り組んでおります。
小児矯正から成人矯正、顎変形症の矯正等すべての矯正治療に対応します。
矯正治療は一生に一度の治療になると思いますので心を込めて、患者様それぞれに合った最高の治療結果を提供いたします。