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🦷 マウスピース矯正で噛み心地が合わないと感じたときの対処法
~臼歯の圧下・歯体移動・噛み合わせ設計まで含めた本質的な話~
マウスピース矯正中に
- 奥歯が噛まなくなった気がする
- 前歯だけが強く当たる
- 噛めてはいるが、どこかしっくりこない
といった違和感を訴える方は、決して少なくありません。
SNSでは「マウスピース矯正は奥歯が噛まなくなる」といった言葉だけが独り歩きしていますが
重要なのは、なぜその状態が起こるのか、そして、どう修正するのかです。
結論からお伝えすると、噛み合わせに違和感がある時点で、
そこには必ず歯の位置や力のかかり方のズレがあり、それはすべて診断・調整の対象になります。
「慣れ」や「気のせい」で片付けるものではありません。
🦷 マウスピース矯正で噛み合わせの違和感が起こりやすい理由
マウスピース矯正には、構造的・力学的な特性があります。
それを理解すると、奥歯が噛まなくなったり、噛み心地が不安定になる理由が見えてきます。
1. 臼歯(奥歯)の圧下による噛み合わせの変化
マウスピースは歯全体を覆う装置であり、一定の厚みをもっています。
人の下顎は顎関節を軸に回転しながら開閉するため、マウスピースを装着して噛むと、奥歯に力が集中しやすい構造になっています。
その結果、
- 奥歯がわずかに沈む(臼歯の圧下)
- 前歯の当たりが相対的に強くなる
- 「奥歯が噛まない」「前歯だけ当たる」と感じやすくなる
といった噛み合わせの変化が起こることがあります。
これは、マウスピース矯正に特有の力のかかり方による現象であり、治療失敗ではありません。
2. 歯の高さ・幅・傾斜のズレによる「噛み心地」の違和感
奥歯が当たっているように見えても、
・歯の高さが完全に揃っていない
・歯列の幅に左右差がある
・歯の傾斜の違いによって、部分的にしか接触していない
といった状態では、
- 噛めているが安定しない
- 食事のときに噛みにくい
- 噛み心地が自然でない
といった 違和感 が生じます。
これは単なる感覚の問題ではなく、噛み合わせがまだ完成していないことを体が教えてくれているサインです。
3. 抜歯スペース閉鎖時に起こりやすい問題
① マウスピース矯正は「歯体移動」が難しいという特性
ここが、噛み合わせの違和感と非常に深く関係するポイントです。
抜歯矯正では抜歯によって生じたスペースを閉じる際に、
- 歯を傾けるのではなく
- 歯根ごと平行に動かす(歯体移動)
ことが重要になります。
しかし、マウスピース矯正では、
- 歯を包み込む構造上
- 歯冠側に力がかかりやすく
- 歯体移動よりも傾斜移動が起こりやすい
という特性があります。
② 抜歯スペース閉鎖時に何が起こるか
歯体移動が十分にコントロールできない場合
- 前歯が舌側または唇側に傾く
- 奥歯が前方へ倒れ込みやすくなる
- 歯の高さや傾斜にズレが生じる
といった現象が起こりやすくなります。
このズレが積み重なると
- 抜歯スペースは閉じている
- 歯並びは一見きれい
にも関わらず
「噛み合わせが合わない」「噛み心地がしっくりこない」
という状態になります。
💬 噛み合わせの違和感は「結果」であって「原因」ではありません
奥歯が噛まない、噛みにくいという症状は、あくまで 結果として現れているサインです。
その背景には、
- 臼歯の圧下
- 歯の高さ・傾斜のズレ
- 抜歯スペース閉鎖時の歯体移動不足
といった 複数の要因が重なっていることが多くあります。
そのため、
「噛まないから様子を見る」ではなく、
「なぜこの状態になっているのか」を評価することが重要です。
😊 当院で行う対処と考え方
当院では、噛み合わせに違和感がある場合、
- どの歯が
- どの高さで
- どの傾斜で
- どの順番で当たっているか
を細かく確認します。
その上で、
① 咬合調整・歯の高さの微調整
② 歯列幅や歯の傾斜の修正
③ マウスピース設計・補助装置の調整
④ 必要に応じたワイヤー矯正との併用
を行い、噛み合わせを「感覚レベル」まで仕上げていきます。
抜歯矯正の場合は特に、マウスピースだけで無理に完結させるのではなく、歯体移動と噛み合わせを優先した選択を行います。
🚩「装置を使い切る」ことがゴールではありません
マウスピース矯正は、非常に優れた治療法の一つです。
ただし、
- どんな症例でも
- どんな工程でも
- 最後まで同じ装置で行う
ことが、必ずしも最良とは限りません。
ゴールは「マウスピースで終わること」ではなく、「きちんと噛める状態で終わること」です。
💡 まとめ:噛み合わせの違和感は、治療を良くするための重要な情報
✅ マウスピース矯正中に噛み合わせの違和感が出ることは珍しくない
✅ 臼歯の圧下、歯のズレ、歯体移動の難しさが背景にある
✅ 違和感は放置せず、必ず評価・調整の対象
✅ 必要に応じて装置を使い分けることが、結果的に最良の仕上がりにつながる
噛み合わせに違和感を感じたときは、「失敗かも」と不安になるのではなく、
今の状態をどう評価し、最終的にどう仕上げる計画なのか
をしっかり説明してもらうことが大切です。
著者 Author

2014年に歯科医師免許を取得し、矯正一筋で治療をしてきました。
患者様の歯列の仕上がりを0.1mm単位で細かく調整し、より早く終わられられるよう効率的な治療を常に意識して治療に取り組んでおります。
小児矯正から成人矯正、顎変形症の矯正等すべての矯正治療に対応します。
矯正治療は一生に一度の治療になると思いますので心を込めて、患者様それぞれに合った最高の治療結果を提供いたします。