お知らせ
NEWS
😢 矯正治療における「失敗」とは何か
~違和感を“最後まで詰め切れたか”という視点~
「矯正 失敗」という言葉は、
歯が並ばなかった、見た目が悪い、
そういった結果だけを指す言葉として使われがちです。
しかし、矯正治療を長く行っていると、それとは少し違う種類の「失敗」があると感じます。
歯はきれいに並んでいる。大きな問題もない。それでも、どこかしっくりこない。
この状態を、どう捉えるか。
そこに、矯正治療の本質があるように思います。
🦷 「ドクターにとっての成功」と「患者にとっての成功」は一致しないことがある
矯正医は、治療結果を
- 歯並び
- 噛み合わせ
- 安定性
といった、医学的・機能的な基準で評価します。
一方で患者さんは、
- 口元の印象
- 笑ったときの雰囲気
- 顔とのバランス
- 自分の中の「こうなりたい」イメージ
という、感覚的な基準で評価していることが多い。
この二つが完全に一致していないまま治療が終わると、
たとえ歯がきれいに並んでいても、患者さんは「失敗だった」と感じることがあります。
例① 正中のズレが「想定内」でも失敗になるとき
上下の歯の正中が、顔の正中と完全には一致しない。
これは、骨格や噛み合わせの制約を考えれば、設計段階で十分に想定できることです。
ドクター側としては、
・ 設計通り
・ 無理のない範囲
・ 医学的には問題ない
と判断しているケースもあります。
しかし、そのズレを事前にどこまで共有できていたかで、結果の受け止め方は大きく変わります。
「そうなる可能性がある」と知らずに治療を終えた場合、
患者さんにとっては結果がどうであれ「想定外」=失敗になり得ます。
例② 口元を「下げすぎた」と感じるケース
抜歯矯正などで前歯を下げる治療では、
・前歯がどの程度後退するか
・それに伴い唇がどう見えるか
は、設計段階である程度予測できます。
ただし現実には、歯の位置の話が中心になり
・唇の見え方
・表情時の印象
・顔全体とのバランス
まで十分にすり合わせられないまま、治療が進んでしまうこともあります。
さらに、ドクターが「適切」と考えた位置であっても、患者さんが「下がりすぎた」と感じることはあります。
これは感覚の問題ではありますが、想定されていたか、共有されていたかという点では、
治療の質に関わる重要な要素です。
💬 違和感は「気のせい」ではない
正治療後に患者さんが口にする、
- 「なんとなく変」
- 「うまく言えないけど気になる」
この違和感は、慣れや気のせいとして片付けられるものではありません。
噛み合わせ、歯の高さ、歯の傾斜、前歯の位置、口元の見え方――
どこかに 必ず具体的な理由 があります。
もし違和感が残ったまま治療が終わるとしたら、それは患者さんの感覚の問題ではなく、
その違和感を最後まで拾い切れなかったという意味で、治療が未完成だった可能性を考える必要があります。
⌛「時間が経てば慣れる」では済まないこともある
治療後の評価は、時間とともに変化することがあります。
ただしそれは、
【 違和感が自然に消える 】
という意味ではありません。
むしろ、
・日常生活の中で
・食事や会話を重ねる中で
違和感がはっきりしてくることもあります。
だからこそ、治療直後だけでなく、時間をかけて評価し、必要なら調整する姿勢が重要です。
❔ 矯正治療の失敗とは何か
矯正治療の失敗とは、
- 歯が並ばなかったこと
- 計画通りに動かなかったこと
だけを指す言葉ではないと考えています。
むしろ、違和感があると分かっていながら、そこを最後まで詰め切らずに治療を終えてしまうこと
これが、矯正治療における「失敗」に最も近い状態ではないでしょうか。
💮 正解は一つではない。それでも責任は残る
矯正治療に絶対的な正解はありません。
ただし、
- どこまで想定していたか
- どこまで説明していたか
- 違和感をどう扱ったか
これらは、治療を行う側の責任です。
正解がないからこそ、考え続け、詰め続ける必要がある。
💡 最後に
矯正治療は、歯を動かす技術だけで完結するものではありません。
- 設計
- 説明
- 対話
- 仕上げ
そのすべてを含めて、治療です。
「失敗」という言葉の裏にある違和感・ズレ・納得感を、これからも軽視せずに向き合っていきたいと思います。
著者 Author

2014年に歯科医師免許を取得し、矯正一筋で治療をしてきました。
患者様の歯列の仕上がりを0.1mm単位で細かく調整し、より早く終わられられるよう効率的な治療を常に意識して治療に取り組んでおります。
小児矯正から成人矯正、顎変形症の矯正等すべての矯正治療に対応します。
矯正治療は一生に一度の治療になると思いますので心を込めて、患者様それぞれに合った最高の治療結果を提供いたします。